【1枚の画像から物語を想像してみた】第2話
突然ですが、お祭りを描いた物語で好きな作品はありますか
まつり
#1
Y君の住む町に、お祭りの季節がやってきました。
普段は静かなところですが、この時ばかりは一年で一番騒がしくなります。
#2
Y君はお祭りが大好きでした。
だれもが楽しそうに笑っていて、町全体が温かくなるからです。
#3
Y君は必ず金魚すくいのお店に行きます。
なぜかというと、Y君は金魚を獲るのがとても上手だったからです。
5匹目の金魚をすくいあげた時、Y君はおや?と何かを発見しました。
少し外れた場所にあるベンチに、若い男の人が悲しそうな顔をして座っていたのです。
「どうしてお祭りなのに、あの人は悲しそうな顔をしているのだろう?」
Y君は不思議に思いました。
もしかしたら金魚を一匹もすくえなかったのかもしれません。
Y君は若い男の人に話しかけに行きました。
「僕の金魚、あげるよ?」
そう言って金魚の入ったビニール袋を差し出すと、若い男の人は少し驚いた表情でY君を見つめました。
「…金魚?」
若い男の人は不思議そうに尋ねました。
「そう。金魚が獲れなくて悲しい顔してるんでしょ?」
若い男の人はしばらく黙っていましたが、ふふっと笑うとY君に優しく言いました。
「ありがとう。でも大丈夫。その金魚はお兄ちゃんが大切に育ててあげて。」
Y君は若い男の人が笑ってくれたのでホッとしました。
せっかくお祭りの日なのだから、みんなで楽しく過ごしたいというのがY君の想いだったからです。
#4
Y君はこの若い男の人をもっと楽しませようと、良い考えを思いつきました。
Y君は男の人の手を引っ張って立たせると、スーパーボールすくいの屋台を指差して
「あれ、いっしょにやろう!」
と言って歩きだしました。
若い男の人はY君に引っ張られるように、お祭りの賑わいの中に引きずり込まれて行きました。
年に一度のお祭りは、色んな想いを持つ人々によって作られるのです。
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#5
悲しい時に笑わしてくれる人がいる。
それは本当に、幸せなことですね。