シュピーレン

インターネットを遊び場に!というコンセプトで開設したブログ。愛犬ミニチュアシュナウザーとの日々を綴る『ミニシュナ日記』連載中です!ミヒャエル・エンデ、遠藤周作、森見登美彦、夏川草介をこよなく愛する大学生。

【1枚の画像から物語を想像してみた】第2話

 突然ですが、お祭りを描いた物語で好きな作品はありますか

 

僕は森見登美彦の『宵山万華鏡』が好きです。

 

 

 

まつり

 

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 #1

Y君の住む町に、お祭りの季節がやってきました。

 

普段は静かなところですが、この時ばかりは一年で一番騒がしくなります。

 

 #2

Y君はお祭りが大好きでした。

だれもが楽しそうに笑っていて、町全体が温かくなるからです。

 

 #3

Y君は必ず金魚すくいのお店に行きます。

なぜかというと、Y君は金魚を獲るのがとても上手だったからです。

 

5匹目の金魚をすくいあげた時、Y君はおや?と何かを発見しました。

 

少し外れた場所にあるベンチに、若い男の人が悲しそうな顔をして座っていたのです。

 

「どうしてお祭りなのに、あの人は悲しそうな顔をしているのだろう?」

 

Y君は不思議に思いました。

 

もしかしたら金魚を一匹もすくえなかったのかもしれません。

 

Y君は若い男の人に話しかけに行きました。

 

「僕の金魚、あげるよ?」

 

 そう言って金魚の入ったビニール袋を差し出すと、若い男の人は少し驚いた表情でY君を見つめました。

 

「…金魚?」

 

若い男の人は不思議そうに尋ねました。

 

「そう。金魚が獲れなくて悲しい顔してるんでしょ?」

 

若い男の人はしばらく黙っていましたが、ふふっと笑うとY君に優しく言いました。

 

「ありがとう。でも大丈夫。その金魚はお兄ちゃんが大切に育ててあげて。」

 

Y君は若い男の人が笑ってくれたのでホッとしました。

 

せっかくお祭りの日なのだから、みんなで楽しく過ごしたいというのがY君の想いだったからです。

 

#4

Y君はこの若い男の人をもっと楽しませようと、良い考えを思いつきました。

 

Y君は男の人の手を引っ張って立たせると、スーパーボールすくいの屋台を指差して

 

「あれ、いっしょにやろう!」

 

と言って歩きだしました。

 

若い男の人はY君に引っ張られるように、お祭りの賑わいの中に引きずり込まれて行きました。

 

 

年に一度のお祭りは、色んな想いを持つ人々によって作られるのです。

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#5

悲しい時に笑わしてくれる人がいる。

それは本当に、幸せなことですね。