シュピーレン

インターネットを遊び場に!というコンセプトで開設したブログ。愛犬ミニチュアシュナウザーとの日々を綴る『ミニシュナ日記』連載中です!ミヒャエル・エンデ、遠藤周作、森見登美彦、夏川草介をこよなく愛する大学生。

【ミニシュナ日記】ソファをめぐる攻防

お気に入りはソファ

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我が家にはベージュの革張りで少々年季の入ったソファがある。沈み過ぎずない適度に反発があり、陽が当たって温かい。それが何とも言い表しがたい心地よさと安心感を生み出す。

 

僕がそこに座るのを許されたのは最近の話だった。きっかけが何だったのかは覚えていない。それまでは硬い床で寝転がっていた。

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もちろんその快適さを知らなければ、自分の境遇に対して何ら不満を抱くこともなかったに違いない。世の中そんなものなのだ。井戸の中の蛙と言ったところだろうか。以降日課である昼寝はソファでするようになった。

 

それにしてもこんな贅沢な代物を家の人たちだけが使っていたのかと思うと腹立たしい。もっと早くに教えてくれていれば、留守番の時の孤独を和らげてくれていたに違いない。もっとも老齢な漁師が海の上で孤独を感じるように、結局のところそれが癒されることはないのだが。「お前がいなくて寂しかったよ」と言えるような犬になりたいものだ。

 

我が家城、陥落の危機

 家の人たちが夕食をとるまでは安心して寝ていられる。大体家にいないことが多く、居たとしても別な部屋でゴソゴソと訳の分からない仕事に勤しんでいる。何をしているのかは僕のあずかり知れるところではない。どうでもよい。いずれにしても僕の場所は安全地帯なのだ。

 

ところが夕食を終えた家の人というものは恐ろしいもので、僕の存在に構うことなくドカンとソファに腰を下ろす。初めは地震が起きたか、そうでなければ隕石か流れ星が降ってきたと思った。「君の名は。」がとうとう現実になってしまったと思って飛び起きると、そこにはニタニタと笑う家の人の顔がある。

 

初めその気味悪い笑顔の意味するところが分からなかったが、どうやらわざと起こして僕の眠りを邪魔しているらしかった。このくだらない悪戯だが驚くべきことに毎日行われるのである。僕はほとほと参っている。

 

ときに家の人は僕をソファから追い出そうとより悪質な行動をとる。おもむろにソファに寝転ぶと、僕の方に足を延ばしあろうことか僕を言葉のごとく追い出そうとする。

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仕打ちがひどすぎる。家の人は「あったかい~♪」と言っているが絶対違う。その裏には邪魔だから退けという強烈なメッセージが込められているのだ。僕を甘やかして虎視眈々とスキを狙っているのである。人間は恐ろしい生き物と別な犬から聞いたことがあったがどうやら本当らしい。なんとしても負けたくなかったので、僕は負けじと足を押し返した。

 

無事確防衛

陥落の危機を迎えた我が屋城であったが、あっけなく敵は退却していった。好きなテレビの放送が終わったらしい。その後どこかへ消えていった。戦いはいつも僕が勝つのである。 

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